岐三河守悪五郎

久々利城主。

人名 / 土岐三河守悪五郎 (とき みかわのかみ あくごろう)・頼興

出身 / 美濃国

生没年 / ?−天正11年正月

法名 / 前三州太守雲渓竜公居士

墓所 / 久々利・桂昌山長保寺 


久々利城は応永年間に土岐三河守行春が築城したといわれる。

名門土岐氏の流れを組むこの久々利城主は、いつの頃からか代々”悪五郎”を名乗っていた。別に”ワル”を気取っているわけではなく、

昔は”悪”や”鬼”が付く名には剛の者という意味であった。

森可成が金山城を築く前そこは烏峰城と呼ばれ斎藤道三の養子・斎藤大納言正義が城主であった。この大納言を討ったのが土岐氏であ

る。

天文17年(1548年)、土岐悪五郎は大納言を花見の宴にご招待した。疑いもなくわずかの従者で久々館にやってきた大納言は、かわや

にたった時に悪五郎の用意していた伏兵に討たれ命を絶った。悪五郎、そちもワルよのう、である。その勢いにのって、悪五郎は金山の

烏峰城を落城させる。

永禄8年(1565年)に信長配下の森可成がこの烏峰城を奪った。後に可成は正式に信長より烏峰城を与えられ、ここに金山城を築いた。

しばし、大人しくしていた土岐悪五郎だったが、本能寺の変の混乱に乗じて、諸将と語らい時の金山城主・森長可に反旗を翻した。長可は

怒り、いつか悪五郎を滅ぼさんと画策していた。しかし、打ち続く戦に、兵馬も疲れている。

「謀をもってこれをうたん。」

長可曰く「飛騨を攻めるので、一緒に頑張りせんか?その評議をしたいので金山にお越しいただきたい。それまで末の弟・仙千代を人質に

お預けします。」という、聞くも怪しい策略をうちたてた。なぜか悪五郎は、長可の言葉を鵜呑みにして「仙千代殿人質のことかえって痛み入

り候。」と気まで遣っている。もちろん、悪五郎の手元にやってきたのはニセ仙千代。かくして、かつて大納言を誘い出して謀殺した悪五郎

は長可に誘い出されて謀殺されに金山城にやってきた。

ここに、今一人の人物が登場する。いつか悪五郎にあだ討ちせんと森長可のもとに入りこんでいた斎藤大納言の旧臣にして実は孫・

加木屋宇右衛門正則。彼は長可に涙ながらに斎藤大納言のあだ討ちをさせて欲しいと頼んだのだった。

長可は悪五郎にお正月のご馳走をし、夕方近くまで滞在させた。悪五郎は満足気に長可に別れを告げた後、搦手の”杉が洞口”に出た。

そこへ正則の登場である。「われこそ斎藤大納言の嫡孫よ!祖父公の仇を報ずるぞ!」

反撃する間もなく、悪五郎は討たれてしまった。世の人々は「大納言を謀殺した報いだ」といった。

時を移さず長可が急襲した主なき久々利城はまたたくまに落城し、ついには廃城となり、約百数十年間の土岐氏の栄華は終った。


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■ 悪五郎には幼少の子どもが2人いた。御台所や家臣は城を出て落ち延びた。

■ 久々城を落城させたあと、長可はあとの事は家臣の戸田勘左衛門に申し付けて帰った。

 初代悪五郎は京都の五条大橋で、弁慶のまねをして千人切りをしていたらしい。迷惑な奴である。千人目を切るときに自分の

   太刀が川に落ちた。そこへ鵜が飛んできてこの太刀を橋に置いてくれ、見事千人切りを達成。彼はこの太刀を「鵜の丸」と名

   づけ、土岐家代々の宝となった。(同類の話しがいくつもあって、内容が微妙に食い違う。)

■ 長可は久々利城の金銀財宝をごっそり金山城に持ち帰った。その中には後に大問題となる上記の太刀「鵜の丸」もあった。

 ましてや、金山の町人も久々利の町にやってきて、強奪してまわったという。

 


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土岐悪五郎が若い頃、夜になって鹿狩りにでた。鵜の丸の太刀を指し、弓を持って一人で久々利の山を馬に乗っていた。月明かりは

昼のように明るい。「何でもでてこい。妖怪変化がでてきても、コッパ微塵にしてくれる。」鹿狩りにきたんじゃなかったのか?ご期待通り

に何物ともわからぬ類のものどもが現れた。悪五郎はこれを射ようと弓をつがえたが、弓の弦が切れてしまった。念仏を唱えながら馬を

下り、鵜の丸の太刀を抜こうとしたが、これまた抜けない。「是非もない。」そこへ、身の丈1丈ほどの山伏が現れ、悪五郎を睨み据え

る。悪五郎は驚かずに捕らえてやろうと飛びかかれば、山伏は消失した。

太刀を抜けば抜けるようになり、弓の弦も切れていない。今更ながらに恐ろしくなって震えがでてきた。馬に乗って帰り、長保寺に寄って皆

をたたきおこした。そして住持や寺の者たちにこの出来事を話したところ、住持たち「その化け物はこんなのですかぁ???」と言うより

早く、たちどころに悪五郎の前には無数の鼻も目もない化け物でいっぱいになった。「さては今夜命を失うのだな・・・。」と仕方がないと思っ

ていたときに、風が吹いてきた。そうすると、寺も坊主も煙の如く掻き消え、悪五郎はただの野原にいた。


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