透明な時間
お父上(可成)とお母上にじゃれる幼き蘭、坊、力。
このころはまだ、甘えるための父の膝があった。
肌でじかに感じられる父のぬくもりがあった_____。
___蘭丸も、坊丸も、力丸も、なんとなくだが覚えている父なる人の顔。
十余歳になりし父無児ら(ててなしごら)は、父の影を追い慕いつつ
信長公のお側でお仕えするようになる。
蘭丸を、坊丸、力丸を通して、父が__信長公の背中を、この世界を見ている。