君もまた幻の花
短き命を惜しむように駆け抜けたる
君もまた幻の花。
伊達政宗と同じ年にその人はこの世に生を受けた。
森 力丸長氏_____。
政宗がいうところの、白髪に親しむような人生を知らずして
残躯天に赦されず、十六の若き肢体を戦庭に擲(なげう)ったる人。
とりすがる君の腕(かいな)もはや無く、
今、傍らに笑む人なし。
仙千代は兄に焦がれる気持極まりて今も已むことなし。
せめて、名前だけでも傍にいて私を見守って_____。
仙千代、後の忠政は森力丸の法名をとりて津山に法雲山を開山す。