せん殿初出仕

 末っ子の仙千代殿、上様に初のお目見え。

 お人形のようなその姿に蘭丸兄上も誇らしげ。

 しかし気性の激しさはは兄弟譲り。

 ウブな仙千代の可愛らしさに、思わず手を伸ばして頬をなでた男ひとり。

 仙千代、頬を紅潮させて怒り、扇で男をパシーン!パシーン!

 かの信長殿も目が点。

 「私の躾が至りませんで」

 深々と詫びる蘭丸だったが、信長殿はあきれ顔を隠せない。

 「その子は母親の元へ返してやるがよい・・・・。」

 かくして仙千代は金山城へ返品と相成った。

 

 塞翁が馬、仙千代の命は本能寺から救れた。