人生別離足る

 待つ女のいる身を振り返ることもせず、

 男たちは戦場で武を競い そしてそのまま さようなら。 

 弟の長可も、夫の小十郎も長久手に花と散った。

 夫婦共白髪の誓いむなしく、

 あの人は若く美しいままにして死んでしまった。 

 寡婦となった鴻野(こうの)さま、泣き場所もなく

 老母(妙向尼)さまに膝枕。

 十重二十重の悲しみで、これからどうして生きていこう。

 ああ、今はこの長い髪も重すぎる_____。

 この長い人生も煩わしい______。

 もうこれ以上、人に去られる悲しみを

 わけてくださるな阿弥陀様