願わくは月華を逐うて流れて君を照らさん

森忠政公は、美作国19万石の太守にして

天下の戦に数多の兵馬を従えれども、

森家の陣営には忠政公の他に肉親の影なし。

忠政公もとより父の顔を知らず、

優しき兄らはもはや、去りし日々の夢のうち。

 

ただ、君が、孤独に乱れて空を見遣れば、

月光が父の愛、母の慈悲となり

兄らの涙をさし添えて

幼き魂に優しく触れくる。