恩盗人(おんぬすびと)にこの身を焼かれ、
天を抜く怒りに終えた わが一生。

憧れは十万億土の夜空の向こう。
花咲き鳥歌う穏やかな浄土。
阿弥陀如来のやすらかな腕の中。

流れ流れ行く世界を彼方に眺めつつ
独り悠久の中に身を横たえる。


だが、もしも―――――

もしも
再びこの人生を歩みたいかと問われれば
ためらわず「輩(はい)」と答うだろう。

あの人にめぐり会うたびに
本能寺の業火にこの身を焼かれることになっても。