又いつの世に逢ふべき

  関小十郎は、いつも義弟・長可に影のように従っていた。

  まことの兄弟の如くに信頼を寄せ合い、何をするでも一緒だった。 

  やがて死に場所すら同じくする人の―――。

  

  長久手の合戦

  小十郎がひと戦終えて帰らんとする矢先、

  おん大将は既にこの世の者では無いことを告げられる。

  悲しいかな鬼武蔵よ、黄金の心を持っていても、身体は鋼(はがね)でできてはいない。

  小十郎は息をすることも忘れ、神の無慈悲に天を仰ぐ_______。

  ああ、もとより惜しむ命でない、仇どもに最期に一矢報いんことを!

  かっと両の眼(まなこ)を見開くや否や

  再び馬上の人となり、怒りの矢となり大音声で叫びつつ敵の海に駈け込んだ。

  その姿はまさに猛虎_____!縦横無尽に切って切って切りまくる!

  「あれを狙え、あれを、早う!早うせぬか!味方がやられる!」

  徳川軍の銃声が、一斉に天高く轟いた。