竜宝山大徳寺の香語に曰く、蘭丸は信仰心ある人だったという。

その青年をたとえて一朶(いちだ)の薔薇(しょうび)。



余人には堪えがたい鮮烈な一生を 十余歳で貫いた 蘭丸の魂の力強さ。

信長の最期に時と場所を違えず居合わせた 蘭丸の運命の確かさ。


余りにも一途なその命は、まるで

凄絶な使命を一身に背負って戦う孤独の覇者信長に

御仏が慈悲を示し 遣わした者かの如くに、

信長をおとない、付き従い、その死までをも見守った。


一朶の薔薇は、時を越え 今もなお 人の心で優しく咲き匂う。