『本能寺の日』

  蘭丸の断絶した青春の代償に与えられたもの。

  白銀(しろがね)のように光るその美しき人生。

  

  ・・・・・死に行くものは美しい。 

  しかし遺されたものは哀しみに向ってあてどなく行く。

  

  ・・・・・兄・長可はうつろな腕(かいな)の哀しみに

  やがてその身を銃弾に晒(さら)す。

  ・・・・・楪(ゆずりは)の願い裏切る子供たちは

  いつまでも母・妙向尼の瞼(まぶた)に遊びつづけ 

  母は無常の海をただよう。