| 花の散り乱(まが)うとき あなたは泣いた 
 
 愛別離苦 愛する者と別れる苦しみ 怨憎会苦 怨み憎む者と出会う苦しみ 求不得苦 欲しい物が手に入らぬ苦しみ 五蘊盛苦 存在することの苦しみ 
 その荒ぶる魂をなおいっそう追いつめ苦しめる。 
 かつてあなたは鬼だった________。 人の魂を凍らせる鬼だった___________。 
 だけど今は ただ寂しいばかりに泣く赤子。 全身の鱗をはがれて、赤身をさらしてうめく龍。 | |
| 何よりも天に慈しまれたように思えたその身も 流転世界に振り捨てられる命のうちのひとつと知りなん 風の前の塵と定めて知りなん 
 
 それでも、それでも、 あなたが皆と笑いさんざめき、幸福のうちにあった日々の記憶は 苦界(くがい)に降る 花びらの端に仄(ほの)かに灯(とも)りて 人の心にも温かい_____。 
 
 四月九日は森武蔵守長可公のご命日です。 合掌 |  |