一定かたりをこすよの
「死のふは一定、しのび草には何をしよぞ、一定かたりをこすよの」
そう。
人は必ず死すべきもの。
死して後、
この身をしのんでもらう話の種に
何をしようか。
まして、命軽ろき世に生まれ落ちたなら、
語り継がれる思い出になれ______。
主がこよなく愛した小唄が、蘭丸の心の琴線にも触れて響く。
命短きさだめの身には、特に強く、美しく、胸にしみいる。